年々対象者は減っていると言われますが、今年も大勢の若者が晴れ着やスーツを着て成人式に集っているところを見かけました。大人の仲間入りをすると言われる日にみんな笑顔でいられるというのは、きっと良い事なのだと思います。
大人になると人は色々な権利を手にして、同時に一定の義務を負うことになります。一応大人である私は自分の権利が守られていないと不満をもらし、課せられる義務に愚痴をこぼしながら日々を過ごしている気もします。医療の現場というのも様々な人々の権利と義務が交じり合い、意見の食い違いがしばしば見られるところです。
義務や権利などと難しいことを考え出すとなかなか決着がつかないことが多いので、ちょっと視点を変えて大人として自分にできることは何だろうかと考えてみます。すると、お手本になる方々は周囲にいるものだと気付きます。
何か良いことや優先権を人に譲るとか、人のやりたがらない仕事を引き受けたり、何だか苦しそうな人に声をかけたり、人の落ち度を穏やかに受け入れたり。そうした事が自然にできる方々には尊敬の眼差しを向けたくなります。困った状況もそんな人がいるお陰で何とかなった、ということも無数に経験します。そんな人に「いつもすみません」と声をかけると、「いや別に・・・」とさらっと言われることも多く、私のような至らない者は恥じ入るばかりです。こんな具合に周囲を感化する力を持てるというのは、素晴らしいことです。
大人の理想像は人によって様々だと思います。私が二十歳の頃には何も考えてはいませんでした。ただ医療の現場に一定数の大人が必要であることは間違いありません。人に色々求めるよりも淡々と自分が体を動かせるか。そろそろ視力や記憶力に衰えが出始めた私も、理想を目指した努力は止めてはいけないようです。
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