2023年8月

 7月から8月にかけて高校野球の大会が行われるのは例年のことですが、今年は新型コロナに関する行動制限が緩和されたこともあり一層の盛り上がりが感じられるかもしれません。私はそれほど野球好きという訳でもありませんが、新聞で高校野球の記事を見かけるとつい読んでしまいます。
 甲子園常連の強豪校も立派なのですが、より心引かれるのは地道な努力や野球にかけるひたむきさなどであり、それは地方の公立高校からもよく紹介されています。野球をする環境の整備や人材集め、果ては練習時間の確保まで、潤沢な資金のある学校に比べて公立高校には様々なハンディキャップがあるように思えます。
 例え勝利に直接結びつかなくとも、若者がスポーツに打ち込むことに価値を感じるからこそ多くの人が高校野球に声援を送るのだと思います。そして物事に打ち込むという点では、医療の仕事も全く同じです。プロ野球のように収入が取り沙汰されることの良し悪しはともかく、患者さんの傍で医療に取り組む日々はとても意義深いと私は考えます。
 物価高、頻発する災害に国家の財政難など医療を巡る環境も年々厳しくなっています。ただ私は希望をなくしてはいません。甲子園の出場者でも将来野球で生計を立てられる人はごく一部です。それでもこの夏精一杯野球で頑張った経験は今後きっと役立ちます。野球でも医療でも、これからどうなるんだろうと悩み過ぎるよりは今日の務めを淡々と着実にこなす方が先のようです。
 諦めずに努力を続けるところには、応援して下さる方々が必ずいるものだと日々感じます。自分から何かをするからこそ人が助けてくれるし、またそこで感謝や敬意を大切にすることが次につながるのでしょう。
 私が野球をしたり見に行ったりすることはなさそうですが、選手たちの活躍や努力を陰ながら応援しつつ、暑い中で自分の仕事をしていけたらと思っています。

もみじ8月号 四方山話より