2023年5月

 4月の段階で早くも新緑が日差しに映えています。畑の野菜や庭の草木などもまた手入れが必要になって来る時期です。当院では植物や設備のことなどは業者さんにお願いすることも多いのですが、透析医療以外で他の誰にも頼みようのない問題は毎日色々起こります。
 何か困った事があったとき、「私は被害を受けて迷惑している立場であって、これは他の誰かが何とかするべきだ。」と言わぬばかりの圧力を感じることはないでしょうか。「いや、あの、あなたもちょっとご協力願えませんか。」という控えめなお願いは虚しく宙に消えることもしばしばです。ただこういう時に率先して問題に対応して下さる有徳の人物もちゃんとおられるもので、私は日々感謝するばかりです。
 実は問題の原因は外でもない私自身にもありまして、気づかぬ間に他の人に負担や迷惑をかけていることも多々あるようです。そこで自分が余計な仕事を背負い込んだように感じる時を、いつもお世話になっている人へ恩返しする機会、あるいはご迷惑をおかけした方々への埋め合わせだとすればどうかと考えます。人に感謝し敬意を払いながら素晴らしい業績を上げているお手本は、医療の世界では沢山見つけることが出来ます。
 誰の方が上の立場なのか、不平等をどうやってなくすか、など厄介な問題はどこにでもあるでしょう。様々に圧力をかけてくる方々も実は辛い事情を抱えています。あれこれ議論して悩むばかりでなく、いつもの仕事に繰り返し取り組んでいるうちに解決への道筋が見えてきたりします。
 畑やお庭で実際に毎日汗をかくのは立派なことです。当院の果たす役割は一見地味ですが、季節や年月が巡っても自分達の課題に向き合い、悩みながらも身体を動かし続けていたいと思います。

もみじ5月号 四方山話より