2023年12月

 新型コロナウィルスの脅威が遠のいたためか、この年末は様々な行事や催しがコロナ以前と同様に行われています。振り返ればコロナ禍の影響で、自分自身が何かをお断りしたり遠慮したりすることに慣れ過ぎてしまったのではないかと少々反省しています。
 感染の危険は別としても、例えば飲み会や食事会への参加意欲などはもともと人それぞれで温度差が大きいものです。お誘いをやんわり上手に断ったり、断られても鷹揚に受け止めたりするなど、人それぞれの違いをうまく調整する知恵は社会生活に欠かせません。
 好みだけでなく、コロナワクチン接種の是非のような意見や考え方の違いが先鋭化すると、人と人の間の緊張感が高まります。私も異なる意見を押しつけられそうに感じると、すぐむきになって反発する傾向があるので注意が必要です。
 SNSで「いいね!」を沢山頂きましたとか、「多くの共感が寄せられた。」など人からの賛同や支持が得られるというのは嬉しいものです。ただ共感や同意を得ることに熱心なあまり、自分と合わない人を攻撃し排除するような行動を見かける気もします。お互いが適度にバラバラであるのが好きな人には、何でもみんな一緒というのは少々息苦しく感じられることもあるようです。
 能力の高い人や優しい心をもった人ほど、いざという時には普段あまり付き合いのない人とでも驚くほどスムーズに協力できるのではないでしょうか。逆に自分の社会的な立場や序列にこだわっていると、目の前に困っている人がいても何もせずに時間が過ぎていきます。
 人の意見や判断はいつも正しい訳ではなく、私などは判断ミスばかりの毎日です。それでも人に感謝し自分の至らなさを素直に認める気持ちがあれば、間違いを起こしてもゆるされる場合があります。失敗や衝突を恐れすぎず穏やかに自分の考えを表現する工夫は、コロナ禍が収まった後も続くのだと思います。

もみじ12月号 四方山話より