2022年4月

 軍事大国による隣国への一方的な侵攻が、21世紀の現代で本当に起こるのだと示されました。ウクライナではすでに女性や子供を含む多数の市民がロシア軍によって殺害されています。力を持つ者は勝手な要求を立場の弱い人に押し付け、言うことを聞かなければ人殺しをしてもいい。プーチン大統領は、こんな無茶な考えを世界に向かって明らかにしました。
 理不尽なロシアの脅迫と攻撃に対し徹底抗戦を掲げたウクライナのゼレンスキー大統領には、90%を超える国民からの支持が集まったそうです。圧倒的な軍事力を持つ相手との差を考えると、その勇気に感服する他ありません。「日本人にとっても決して他人事ではないはず。」と取材に答えていたウクライナの方がいましたが、全くその通りだと思います。強い者から弱い者への恫喝が私達の周りでも当たり前になっている状況に、今更のように気づかされます。
 気の弱い私など、誰かにちょっと怖い顔をされただけでたちまち不安になってしまいます。そしてそんな私でも、「体重や血糖値、カリウムなどちゃんと節制しないと大変なことになりますよ。」と患者さんを半ば脅すことがありますから事態は少々複雑です。
 今まさに命をかけているウクライナの方々とは単純に比較できないかもしれませんが、私達にもまたかけがえなく大切なものがあるはずです。人と安易に対立するのは考えものですが、脅されてもこれは譲れないという何かを守ることも豊かに生きる鍵であるように感じます。
 取りあえず矛を収めるか、あくまで自分の意志を貫くか。様々な利害や主張が対立する中で岐路に立った時には、苦しみの中で戦うウクライナの状況が頭に浮かぶかもしれません。ただ私の生活指導に徹底抗戦してお寿司や焼き肉を沢山食べたりするのは、どうか考え直して頂きたいと思っております。

もみじ4月号 四方山話より