2021年7月

 先日は毎年恒例の日本透析医学会に出席しました。とはいえ新型コロナウィルス対策のためインターネットを利用した参加だったのですが、神戸や横浜まで出向いていた例年のことを考えると、岡山にいながら出席できるのは助かる面もありました。良くも悪くもコロナウィルスによる社会の変化の一例と言えそうです。
 変化するのはウィルスや社会ばかりでなく、自分の体も徐々に変わっていきます。私の場合は年齢のためか最近胃腸の衰えが目立っており、子供の頃からの早食い大食いの癖は嫌でも改めなくては体がもたないようになってきました。以前より少なめの食事を今までの倍ぐらい時間をかけて食べるのですが、こうすると更においしく食事が摂れる気がしています。
 記憶力や注意力の低下もあるので、薬を処方する時がまた要注意です。今日は余りがあるから必要ない、と患者さんから数分前に言われた薬を処方していたり、その逆をやってしまったりで、周囲に迷惑をかけることもしばしばです。ここでもまた、ゆっくり注意深く電子カルテを操作して処方することが求められます。「はいはい、分かりました。」とばかりにさっさっさ、と用事を片付けようとすると落とし穴が待っているという訳です。ただ注意深く確認しながら、というのは医療の基本でもある訳で、加齢現象が自分を初心に返そうとしてくれているとも考えられます。
 コロナ禍と同じく年を取ることはあまり有難くはないのですが、年の功と言いますか、若い頃には無理だったことがサラッとできたりして助かる場面もあるように思います。もうコロナ以前の世界に完全に戻るのは難しいと言われますが、決して減ることのない年の数とも上手に付き合っていくしかないようです。

もみじ7月号 四方山話より