2021年2月

 コロナウィルス感染の広がりに対して、政府より緊急事態宣言が出されました。外出や外食、多人数での会食を控えて欲しいという要請がより強くなっている訳です。一方で30代以下の若い世代が要請になかなか応じてくれず、カラオケや居酒屋などでの若者の集団感染が今後どれだけ減るのか、疑問視する声もあがっているようです。
 「今の若い者は、全くなっとらん。」という言葉は古代から綿々と人類に受け継がれてきたという説がありまして、私も年を取るにつれてついついそんな趣旨の発言をしてしまうことがあります。しかしそんなに若い人達だけが悪いのか、ちょっと考えてみる余地はありそうです。
 世代の違いに限らず、職種や生活様式、好みや考え方など、人の有り方は様々です。コロナ禍のような困ったことが迫ってくると、私などは何となく誰か他の人のせいにしたくなります。「あの人達が悪いんだ、全くこっちはいい迷惑だ。」とまるで何かの被害者になったような気分になれます。
 しかし振り返れば、人というのはお互いの行動をよく見ているな、と職場や家庭ではいつも感じています。特に若者や子供達は、大人の言動を見ていないようで見ています。厳しい言い方をすることや人に何かを強要することよりも、自分のやるべきことを淡々と途切れずに続けていく所に、大人の役割があるのかもしれません。
 私を含め多くの医療従事者は、今や自宅と職場を往復するばかりの生活になっていますが、飲みに行ったり大勢で楽しく過ごそうとしている人達に、批判的な視線を向け過ぎない方がいいようです。人はこちらの言ったようにするよりも、こちらのやっているようにする。そんなことはないでしょうか。
 コロナウィルスの収束に向けて、立場を超えて少しでも多くの人が協力して下さるよう祈りつつ、我々の仕事はまた明日も続いていくと思います。

もみじ2月号 四方山話より