2020年6月

 新型コロナウィルスの広がりは国内ではひとまず一段落したようですが、ロシアなど海外ではまだかなりの勢いで患者数が増えている地域もあり、どうもこの病原体とは長期戦になりそうな様子です。「第二波に備える必要がある」という言葉も連日のように耳にします。
 これから先、私たちの暮らしや社会はどうなっていくのか、私などにはさっぱり予想がつきません。その時々で自分に与えられた状況や装備、人員のもとで最善を尽くす、としか言いようがないのです。ただ特に私が注意しなくてはいけないと思うのは、コロナウィルスに関連して人の権利や尊厳にはどんな配慮が払われるべきか、ということです。
 感染者とその家族が不必要なバッシングにあっている、というのは報道でも町の噂でも何度も耳にしました。しかしいくら注意していても、この私だっていつコロナウィルスに感染するか分かったものではありません。医師、看護師など医療従事者とその家族が差別的な扱いを受けることがある、と聞けば全く他人事ではないわけです。
 身近な人がコロナウィルスに感染したらどうしよう、という不安はみな同じでしょう。その 不安な思いを、誰かを批判したり攻撃したりすることで紛らわせたくなるのも分からないではないのですが、人と助け合ったり協力しあったりすることで乗り切ろうとする方がよいような気がします。
 雨降って地固まるとは言いますが、この大きな災難も、周囲の人と改めて良い関係を作るきっかけにできないものかと考えます。コロナウィルスが落ち着いた後に、「いや、あの時は大変でしたねえ。」「こちらこそ本当にお世話になりました。有難うございました。」という具合にお互いに言い合えるようでありたいものですね。

もみじ6月号 四方山話より