2020年2月

 早くも一月は終わりましたが、お正月には何か今年の目標を立てた方も結構おられたのではないでしょうか。私は目標や計画を立てるのは苦手なのですが、先のことをあれやこれやと心配して何だか憂鬱な気分になることはよくあります。何と言いますか、あまり自慢になることではありません。
 先日のことですが、医療スタッフが疲労やストレスで燃え尽きたり離職したりするのは何とかならないものかと、色々と文献などを調べてみました。するとマインドフルネス、という言葉をよく見かけました。「マインドフルネス」とは、過ぎたことや先々のことを思い煩うよりも、まず今、この瞬間に意識を集中するという心のあり方を指すようです。
 そんな気持ちのあり方が、なぜ精神的な疲労を回復させるのかはよく分かりません。しかし過ぎたことや先のことを思い悩むなと言われると、成程そうかもなあと思えてきます。ただ「じゃあ今さえよければ良いんでしょ。」とばかりに暴飲暴食に走ったり後先考えず無暗にお金を使ったりするのともちょっと違うようです。
 痛みや息苦しさなどの耐え難い苦痛に曝されている最中であれば別ですが、悩みや不安などはちょっと脇に置いて、自分が生きて呼吸している今この瞬間を意識してみるとどうでしょう。平静さや落着きが、ほんの少しですが近づいてきたような感じがしないでしょうか。明日は明日、一時間後は一時間後であって、それは今ではないのです。
 ここまでくると、何だか矛盾するようですが、一見難しそうな遠い目標に向かってまた歩き始められる気がします。昨日でも明日でもない今日この時を意識することで、地味なことでも気を取り直してまた挑戦を続けることができるのではないか。私の今年の目標はそんなことかもしれません。

もみじ2月号 四方山話より