2019年5月

 5月の連休のこの時期は、神社仏閣などへ観光に出かけ、周囲の新緑に親しむご予定の方もおられると思います。空気も爽やかな季節であり、気分も少々若返るというか活気のようなものが湧いてくるのも感じられます。本当に良い時期です。
 「今度の10連休は?」「はあ、大体仕事です」今年に入ってからこんなやりとりを多くの方と繰り返してきました。反応は様々でしたが、「大変だなあ」と言わていると何だか不思議な気もします。実際自分は身を削るように働いているのかな、そんなことを考えるようになってきます。
 福井の永平寺は多くの観光客で賑わっていますが、厳しい修行の場としても知られています。この禅寺で食事や睡眠もちょっぴりしかとらないような修行僧の様子をテレビで以前見て、とても真似はできないなと思いました休みのない毎日といっても別にやせ細っていく訳でもなく仕事の合間に昼寝をしているような我が身を振り返れば、修行に打ち込む若いお坊さん達の足元にもおよばないように思えてきます。
 「雨にも負けず風にも負けず・・」という宮沢賢治の詩がありますが、いかにも努力一途という感じで始まるこの詩は後半に入り凄みを増していきます。「みんなにデクノボーと呼ばれ・・・そういうものに私はなりたい」労働や修養の果てに人から馬鹿にされるという一見辛い境遇を、この詩では積極的に捉えているようです。
 昨今様々なご批判を頂くことも多い透析医療ではありますが、安易な見返りを求める努力は真実の努力ではないと、どうも色々な人が私に教えてくれているようでもあります。もとより透析は我々にとって、気長な付き合いが必要な人生の一部です。周囲がリラックスした空気に包まれるときも、一種の緊張感が漂うときも、できる限り穏やかに自分の営みを続けていければいいのかなと思います。

もみじ5月号 四方山話より