2019年11月

 「ストレスがたまる」という言い方はいつ頃から広まったのか分からないのですが、今ではお年寄りから子供に至るまで誰でも使う表現になっています。医学の世界でもストレスが体によくないという説は耳にしますし、いじめやクレーム、あおり運転などにストレスを感じるのも珍しいことではありません。
 他にも異常な暑さや激甚化する災害など、まさに我々の人生はストレスだらけと言ってもいいのかもしれませんが、その中でも人それぞれの暮らし方や過ごし方にはずいぶん違いがあります。不平や不満を口にしてストレスを表現している人もいれば、穏やかで感じがよく何だかほっとさせてくれる人もあり、住んでいる地球や世界は一つでも、人というのは本当に色々だとつくづく感じます。
 「ストレスがたまるから」とか「ストレス発散も必要だ」と自分の言動を正当化する。それは私の得意とするところですが、最近になり、どうもそんな考えがますます自分の首を締めているような気もしています。僭越ながら私でも疲労や体の不調を感じることがあったりします。それが主にストレスからだというのも理解できるのですが、一定の休憩を取ればそのうち治まるのです。自由な時間が沢山あった若い頃よりは、気が滅入って落ち込むことはむしろ少なくなりました。
 少々のストレスはむしろ体にいいのでは、と言うと怒られそうですが、どうもそう思えてしまう時があります。「しんどいなあ」と思ったら、そーっと手を抜いて知らん顔をしておくのはどうでしょうか。それで気力が回復したらまた頑張ればいい訳です。
 大型台風や大地震など、こちらの事情には容赦なく大災害が襲いかかってくる時代になりました。無くなることも消えることもないストレスと、何とか共存していこうとするのも一つの方法であるようです。

もみじ11月号 四方山話より