2018年9月

 今年の夏はまた異常な暑さでした。この暑さの中で豪雨被害の復旧作業に当たられていた方々のご苦労は大変なものだったと思います。熱中症に対する警戒情報も毎日のように出されていました。なかでも水分補給と早めの休憩の大切さは、酷暑の中での作業では生命線と言えるでしょう。
 過重労働に対する休養の必要性は、ブラック企業という言葉が一般化してきたことと平行して、より強く認識されるようになってきました。仕事の現場での過労死やうつの危険性に大した改善策は打たれていませんが、専門職の労働時間制限を取り払おうという動きが政府によって示されています。他の誰かが身を削るように働いていても、知らん顔していればいいという雰囲気が拡大する懸念はあるかもしれません。
 夏の間には岡山県の内外から一万人を越えるボランティアの方々が集まり、被災地で汗だくの働きをなさったと聞いています。私の周囲では「手伝いに行きたいのはやまやまじゃけど、暑さで倒れたらかえって邪魔になるし・・」と気を使われる患者さんが多くおられました。しかしそれでいいんですよ、と私は思います。苦労している人のそばで何もしていないように見えたとしても、それは決して知らん顔している訳ではないんです、と言いたいし信じたいと思うのです。
 休養というのはみんなで交代して取ることが必要で、ある人は働いていて、ある人は休んでいる、ということでいいのです。人は本来それぞれ立場も能力も違うもので、それぞれに与えられた役割を穏やかに、しっかりと果たすことが大切なのでしょう。
 全く休まずにずーっと働き続けられるという人などいる筈はなく、人間の心と身体には必ず一定の休養が必要です。まだ災害の影響でみんながしんどい時期ではありますが、休む時は思い切って休むという姿勢が、努力や我慢を長続きさせるのだと思います。

もみじ9月号 四方山話より