2018年2月

先月は阪神淡路大震災、来月は東日本大震災と、この時期は大災害の記憶を新たにし被災された方々について改めて考えることが多くなります。まだ続く復興への道のりや次の大災害への備えについて、多くの方々が地道な活動と共に思いや考えを述べられているのも耳にします。
 現代の災害対策では人や都市、地域の復元力が注目されていると最近知りました。復元力とはつまり元に戻る力を指します。外から力を加えられてたわんでも、しなやかにまっすぐに戻る釣り竿や竹ひごのような感じでしょうか。上から押さえられて潰れてもまた元に戻るスポンジやポリウレタンのような素材も近い印象です。だるまさん、やじろべえといった昔からあるおもちゃも、倒れそうで倒れない復元力を持っていますね。
 この復元力を心にしっかり持っている人は、災害に限らず病気や事故、人間関係などで困難や辛いことに出会っても、その後の立ち直りが早いと言われます。幼児教育に関わる方から伺ったのですが、心の復元力を幼い頃に身につけた子供達はその後の成長過程でも伸びやかさを発揮することが多いそうです。実は腎不全看護においても、心の復元力に注目した研究があります。復元力の強い人には、普段から落ち着いて物事に取り組める、人をよく思いやり共感することができる、などの特性があるようです。
 災難やピンチとは大なり小なりいつでも我々に降りかかってくるものであり、そんな時には気持ちがくじけてしまって立ち直れないような思いをすることもよくあります。災害でも個人的な出来事でも、危機を乗り越える時には人との和がとても大切なのだと信じます。自分の正しさや力を示すことに躍起になりがちな日々の中でも、神戸や東北の方々の大変な経験を思うことが私にもっと大きな価値を教えてくれる気がします。

もみじ2月号 四方山話より