2018年12月

 こうした印刷物では幸い人様にばれることはないのですが、実は私、ひどく字が下手なのです。会合の受付で名前を記帳する時はいつも無駄に緊張していますし、「字はその人を表す」などと言われたら隠れるしかありません。また昨今の医療現場では、医師の字が汚いのは医療ミスの温床になるとされており、ますます肩身の狭い思いがします。
 何故こうも私は字が下手なのか。音痴のような先天的な問題があるのかもしれませんし、中学くらいから「字なんて適当でいいや」という不届きな考えを持ってしまった結果かもしれません。大人になって後悔しても後の祭りという訳でしょうか。
 数年前から、「何とかきれいな、いやせめて人並みな字を書けるようになりたいものだ。」と思い、私はいくつかの努力を始めました。まず「あなたも美文字が書ける!」という練習帳を買ってきて、せっせとお手本を真似してみました。練習をしたすぐ後には何だか字がきれいになった気もするのですが、数日経つとまた元通り。それも時々思い出した時しか頑張らないので、練習帳も未だに最後まで終わっていません。やはり継続することが必要なのでしょうか。 
 次に注意してみたのが漢字の筆順です。今はネットで正しい筆順が簡単に確認できます。そして漢字とは合理的にできていて、正しい書き方をすれば自ずときれいになるのだそうです。気をつけてみると、いかに自分が間違った書き方を覚えていたかが分かり、今では漢字の筆順には大分自信がつきました。しかしまだ誰からも「きれいな字ですね。」とは言われていません。おかしいですね。
 そうこうするうちにまた、年賀状を準備する季節がやって来ました。悪筆の私には少々恥ずかしい時期です。このうえは「私は字が下手です」という事実を穏やかに受け入れ、感謝と敬意をこめて、また皆さんに新年のご挨拶をしたいと思います。

もみじ12月号 四方山話より