2017年7月

ネット通販大手の物流センターが先日より総社市内で稼働しており、町のちょっとした話題になりました。欲しいものが簡単に注文できて数日以内にすぐ届くというネット通販はとても便利で、おかげで宅配便各社が大忙しというのもよく分かります。その中で宅配便社員の過重労働や人手不足が深刻になり、サービスの縮小や値上げに至りました。ファミリーレストランやコンビニでも人員確保の問題から24時間営業を見直す動きがあります。より安くより便利に品物やサービスを提供する競争を、少し見直してもよい時期が来ているのでしょうか。
 最近は日本中で外国人旅行者の数もずいぶん増えたようですが、日本流のきめ細かいサービスは海外からのお客さんにも好評だそうです。確かに消費者としてサービスを受ける側に回っているときはいいのですが、仕事として相手に向き合う側に立った時の苦労話も耳にします。顧客満足は確かに大事ですが、「こっちは客なんだから」と法外な要求をしてくる人には一体どこまで合わせるべきなのでしょう。
 早さ安さ便利さなどといった価値だけを追求していると、どこかで無理や矛盾に苦しむことがあります。人に先を譲って自分は少し待つような謙虚さ、自分の受けている恩恵が決して当たり前ではないことに対する感謝の気持ちなど、利便性や効率を離れたところにも何だかさわやかで気持ちの良いものは沢山あるようです。
 振り返れば、総社という気候も人も穏やかな地域で医療の仕事を続けていられるのは大変に有難いことだと感じます。物流センターだけでなくマンションや宅地の開発もなされている中で、また違った風も町に流れてくるのかもしれません。田んぼや畑の多かった町が変貌していくような風向きの中でも、総社の良さが保たれていくことを心から願っています。

もみじ7月号 四方山話より