2017年5月

「口で言っても分かってもらえない相手に対してどうするか。」いきなりこんな出だしで恐縮ですが、ミサイル発射や毒ガス使用などの報道に接していると、どうしてもこんなことについて考えてしまいます。話のスケールをぐっと小さくすると、新学期の始まった子供達に目が行きます。「もう、止めてって言ってるのにどうして止めてくれないの!?」やんちゃな同級生からの、からかいや嫌がらせに戸惑う幼い声が聞こえてくるようです。
 こちらの言葉に耳を貸さないばかりか、敵対的態度や威嚇をやめようともしない相手に遭遇するのは誰にでもあることです。そんな人には、嫌でもこちらの言うことを聞かざるを得ないような強硬手段にでも訴えたら良いのでしょうか。相手のもとへ原子力空母を派遣して圧力をかけようとする大統領もいますが、私が思い起こすのは「戦略的忍耐」なる原則を掲げていた前大統領です。力による解決の可能性は残しつつも対話への努力を続けた姿勢には、見習うべきところが多いと思っています。
 「こっちが我慢するばかりなんて、そんな弱腰でどうするんですか。」という批判はあるでしょうが、幸い我々は国の外交や安全保障に関わっているのではなく岡山で日常生活を営んでいる身です。自分を強そうに見せたり、プライドやメンツにこだわり過ぎたりすることもなく、二歩も三歩も相手に譲ることもできる訳です。本当の戦いというのは、地道なハードワークを続けられるかどうか、色々な立場や考え方を受け入れる柔軟性があるか、などの点で勝敗が決まってくるように思います。
 苦しい状況にあっても諦めずに待ち続ければチャンスは巡ってくる、とも言われます。焦ってじたばたするよりも日々の務めを果たし機会を伺う、自分が信じるものをしっかりと心に抱き続ける、先の見えない時にもこんな感じで何とか希望をつないでいきたいものです。

もみじ月5号 四方山話より