2017年4月

金曜日は早々に仕事を終わりにして充実した週末を過ごしましょう、というプレミアムフライデーなる試みが始まったようです。国はレジャーや外食などでの消費を奨励しているようですし、透析の患者さんや透析に関わる医療スタッフでも旅行に出かけたり、おいしいものを食べに行ったりすることは珍しいことではありません。誰にでもお休みや楽しみが必要だというのはよく分かります。
 反対に節制とか禁欲などというと、何か辛くて嫌なこと、代わりにいいことがなければとてもやっていられないこと、という印象もあります。けれども少し前の断捨離ブームのように、自分から色々なものを削ぎ落していく感覚も悪いものではないかもしれません。一体いつ休んでいるんだろう、というほどのハードワークをこなしておられる人でも、実際に接してみると驚くほど前向きで明るい印象を受けることが多いものです。
 私も飲みに出たり遊んだりすることは好きですが、あとどれくらい働きながら最も大切にしていることに充てる時間があるのか、逆算することもそろそろ必要な年回りになってきました。人から課せられた物事を何とかこなすことだけが仕事であったような時期から、最近は僅かずつでも揺るぎのない何かを育てていく喜びも見いだせるようになってきた気がします。そしてそれは長く継続的な取り組みを通じてしか得られないことであるようです。
 節制のために節制し、努力のために努力するというのは本末転倒だと言われそうですが、本当にそうでしょうか。すぐには結果の出ないことに手間暇をかけてじっと取り組むことには、お金では決して買えないような楽しみがあります。消費を促進して経済を活性化しようという方々には申し訳ないのですが、医療への奉仕や透析で生きる道にはそれなりの腹のくくり方と楽しみ方がありますよ、と私は考えています。

もみじ月4号 四方山話より