2017年12月

先日、友人の結婚式のため新潟県まで行って参りました。日ごろ遠出をすることの少ない身には珍しい長旅です。目的地へたどり着くまでに、京阪神を抜け琵琶湖の畔を走り、冠雪した山々や灰色にくもった日本海などを目にしつつひたすら列車に揺られ続けました。披露宴では学生時代の友人達とも再会し、すっかり中年になったお互いの近況を話し合う楽しい時間も過ごしてきました。
 いつも暮らしている土地、共にいる人達から少し離れ、旧友と互いの仕事や日常について話しておりますと普段とは違ったことを考えます。今までの自分や毎日の仕事が多くの方々に支えられ、助けられて成り立っていること。厳しい気候や災害から離れた穏やかな暮らしに恵まれていること。日々当然のように送っている生活が、実は当たり前ではないと気づかされます。思えばこんな遠方で友人達と再会させてもらえる機会も、また感謝すべき恵みである訳です。
 結婚式では数々の祝福やお礼が繰り返し述べられていました。男女が結ばれ家庭を作り、子供が生まれ次の世代へ暮らしが受け継がれていく。それはずっと昔から続く平凡な営みかもしれません。透析医療も週三回あるいは毎日関わっていると、良くも悪くもそれが日常になっていきます。そうしたことは全て当たり前のように受け止めていいものではなく、深い意味と重みを持っていると改めて感じました。
 今年も残りわずかとなりました。振り返れば祝福や喜びの他に辛い時や反省すべき点もありました。しかしやはり第一に、そして繰り返し思うべきは感謝の気持ちです。それが一見平凡で穏やかな日常を大切に丁寧に重ねる姿勢につながる筈です。時にお休みを頂きながらも、感謝の心を忘れずにまた来年も透析医療、地域医療に取り組んで参ります。

もみじ12月号 四方山話より