2016年3月

 職業柄当然ではあるのですが、私は毎日のように患者さんと食事に関する話をして暮らしています。その中で「どういうものを食べてはいけないのか」あるいは「何を食べたらいいのか」と尋ねられることはよくあります。当院には常勤の管理栄養士がおりますが、実はこれが栄養士でもスッキリした返答がなかなか難しい問いなのです。一体我々はどんなものをどんな感じで食べて生活するのが理想なのでしょう。
 新聞や雑誌などの企画で「最後の晩餐」なる質問がよく登場します。もしも自分に「最後の晩餐」があるとしたら、どんなものを食べたいでしょうか。焼き肉?寿司?愛する妻の作る料理ならなんでもいい?答えは人により様々だと思います。ご飯に味噌汁、焼き魚に野菜の煮物、といった普通の食事がやっぱりいいという回答もいつも上位に挙げられているようですが、日本人としては確かにそれも分かる気がします。
 最近はファミリーレストランやファーストフードにお出かけの方々も増えているようですが、やはり手作りの日本食はお勧めしたいメニューの一つです。日本食では塩分が増えがちになるという弱点も、汁は残す、うどんなど麺類は控える、かけ醤油はしない、梅干しや漬物・佃煮などはごく少量に抑える等といった手段で対策は可能です。食後に果物や甘いものを付けるかどうかがまた微妙な点ですが、いずれにせよ最後は熱いほうじ茶などで如何でしょう。
 これは宣伝ですが当院では毎日食べても飽きのこない、塩分・カリウム・リン等をがっちりコントロールした透析食を栄養部からご提供しております。お代は頂きますが決してご損はない筈と、これを週に8食のペースで10年以上食べ続けている私は確信しております。おいしく食べて、元気でいたいという思いは誰でも同じでしょう。腎不全や生活習慣病との食べ物を通した関わりを、当院ではこれからも皆さんと一緒に追究し続けていきます。

もみじ3月号 四方山話より