2016年2月

 最近はインターネットやスマートフォンで色々なことが簡単に調べられるようになりました。医療に関する情報も大量に提供されていて、医療現場でインターネットはすでに欠かせない道具の一つと言っていいと思います。患者さんでも病気や治療について様々なことをご自分で調べる方が増えておりますが、情報が増えるといたずらに不安をあおられる時もあります。しかしどうもその多くは杞憂であり、医師や薬剤師に相談して安心される場合も多いようです。
 実は恥ずかしながら私も病気や薬の情報を検索していて、なんだか心配になることがあるのです。「え、そんな事実があったのか」、「自分の診断や方針は間違っていたのか」、などとパソコンの前で考え込んでしまうことなど日常茶飯事です。これもその道の専門医の先生にお聞きすれば「まあ大丈夫ですよ」という結果になることが多いように感じます。有用な情報もネットで調べるだけよりも、詳しい人に尋ねてみることができればよりよいということなのでしょう。
 2009年に新型インフルエンザが流行した際には様々な情報が飛び交い、多くの人が不安な思いをしていました。「正しい情報に従って下さい、と言われても何が正しいか分からない」という話もあったように思います。何事にも情報収集は大切ですが、聞いた話が果たして本当かどうか疑う姿勢も必要でしょう。
 人に質問するにしても、事前に下調べがなければ何を聞いたらいいかもわかりません。自分で調べることと詳しい人に尋ねること、この二つは互いに補い合う関係にあるようです。テレビなどで盛んに宣伝しているサプリメントや健康食品も、買ってみる前に是非とも一度ご相談下さい。情報機器が発達すればするほど、氾濫する情報に振り回されないための工夫が大切になってくるようです。

もみじ2月号 四方山話より