2016年10月

 9月には25年ぶりとなる広島カープのリーグ優勝があり、またリオデジャネイロではパラリンピックも開催されました。選手たちの活躍、健闘はもちろん素晴らしいのですが、この両者に共通する特徴は、ハンディキャップではないかなあと感じました。
 カープは球団創設当時から資金不足に悩み、有力なスポンサーを持つ金持ち球団と違って高額の年棒でスター選手を集める手法は苦手です。また広島という地方都市では、東京や関西のような都会に比べれば観客集めにも苦労します。それでも若手選手の発掘や育成にコツコツと取り組む姿勢には昔から定評がありました。最近では球場のあり方を見直し、カープ女子など継続的に幅広い観客を呼び込む工夫も凝らしていました。どうせ田舎球団だから貧乏チームだからと諦めるのではなく、強いチームを作り上げるための息の長い努力が実ったといえそうです。
 物事に対して、できない理由を挙げるのは簡単です。また良い結果が出ない原因を他の人や周りの状況のせいにすれば気持ちも少し楽になるかもしれません。私もそういうことだけは結構得意です。けれどもパラリンピックでの選手たちの活躍は、すでに障害者と健常者というありきたりの区別など無意味に思えるような高みに達しています。そこにたどり着くまでに一体どれだけの努力があったのか、私には想像することしかできません。
 残念ながら現実は厳しく、これで広島カープの黄金時代が到来したと言うのは早いでしょうし障害者スポーツを取り巻く環境もまだ発展途上のようです。しかしハンディを背負いながらも投げ出さずに戦い続ける選手や関係者の姿勢は、間違いなく多くの人を励ましてくれた筈です。愚痴や言い訳を並べている時間をまず自分の手や体を動かす一瞬一瞬に変えることが、何だか私にもできるような気がしてきました。

もみじ10月号 四方山話より