2014年8月

また今年も暑い夏がやって来ました。夏を乗り切る工夫は人それぞれだと思いますが、私の健康法は冬や春と別に変わることはありません。朝晩の散歩と午後の昼寝です。まだ透析をしている患者さんがおられる昼日中、うちの職員は忙しそうに働いている最中だというのに私は院長室の片隅で横になっている時があります。「何と不謹慎な。こんなけしからん医者には懲罰を下して然るべきだ。」そんな声も聞こえてきそうです。
 考えてみれば我が家は4人の子供を抱え子育て真っ最中であるのに、炊事洗濯、幼稚園や習い事の送迎に病院受診の付き添いなど家事全般への私の貢献度はゼロです。うちの子達に「お父さんはおうちで何をしていますか?」と尋ねられたら「お茶を飲んでおならばっかりしています」などと言われてしまうでしょう。仕事も家事もしっかりこなす昨今の模範的な男性像からすれば、劣等生と言われても仕方ありません。
 良くも悪くも働き方というのは人それぞれです。透析をしていると休みがないでしょうとは言われますが、工夫次第で何とかなるところはあります。ひたすら猛烈に働き続けたご経験のある方には物足りなく感じられるかもしれませんが、一人で突き進むばかりが正しいやり方でもないように思います。大いばりで休むというよりも、周りのお陰で休めることに感謝する謙虚さが大事なポイントであるようです。感謝の心から始まって、また何かの役に立てるように働くという好循環が出来上がれば理想的でしょう。
 院長室で一人静かにしておりますと、大抵どこからともなく誰かの笑い声が聞こえてきます。未解決の問題は身の回りにいつも山積みですが、慌てても物事がすぐ解決に向かう訳ではありません。「焦らず急がず、しかし諦めず。」蝉の声のする暑い昼下がりに、ちょっと休憩しながらそんなことを考えています。

もみじ8月号 四方山話より