2013年7月

今さら言うまでもないことかもしれませんが、便秘や不眠、足のひきつけに腰や肩の痛みなどなど、透析の患者さんで様々な症状に悩む方は多くおられます。こうした症状を私が全てきちっと治せているかというと正直そうでもなく、また大きな病院にかかっても完治は難しい時があります。色々調べてみても、治療法が確立されていない病態や症状というのは実はとても多いということが分かります。新しい薬が登場するおかげで毎年少しずつ状況は改善していますが、そんなに待てない!という思いもきっとあるでしょう。
 開業医が自分の手に負えないなと考える時には、各専門の先生にご紹介ということになります。その結果私は倉敷の病院や総社市内の先生方に毎日大量の紹介状を書いています。連携医療が大切だとはいえ、一体自分は何をしているんだろうと考える時があるのも事実です。薬を使う、専門家に紹介する、よく話を聞き目で見て手で触れるといった診察を繰り返すなどと手段は色々ですが、診療に絶対の正解はありません。相手や状況に応じて対処を考える他はなく、それが正しかったか否かは人の判断に委ねるべきなのでしょう。
 最近は私も体のあちこちにガタがきたのか、恥ずかしながらよその病院を受診することがあります。すでに主治医の先生が私より若かったりするのですが、たとえ短時間でも診察を受けて声をかけてもらうだけで、その後しばらくは何だか調子がよくなったような気がします。症状を取るのは手術や薬だけではないんだな、と診察される側から見えてくるものがあるのを実感します。
 本当に医療とは日進月歩であり、今日の知識や情報もあっという間に古くなってしまいます。専門外の分野については、最新の治療法について患者さんから教えられることもたまにあります。自分の診療、自分達のしていることは本当にこれでいいのか。絶えず問い直し、調べ直していく必要があるなと改めて考えております。

もみじ7月号 四方山話より