2013年6月

新緑から初夏の頃というのは一年でも過ごしやすい時期の一つです。最近は寒暖差の激しさに体がついていかないということもよく聞きますが、それでも風邪のはやる冬や猛暑の夏よりはずっとましでしょう。雨上がりの空に木々の緑が映える様を目にしたりすると、日頃の疲れやストレスも薄れていくような気がします。
 
こうした初夏の瑞々しさに敏感になるのは、自分の体が少々くたびれてきたからかもしれません。若い頃を思い返せば、気持ちのいい季節になったといってもだからどうしたとばかりに無頓着でした。様々な刺激を求め、何となく都会のにぎわいに惹きつけられていたものです。総社で仕事をするようになり十年余となりましたが、ずっとこの土地の水や空気のよさを感じ続けてきました。水がきれいであるというのは、透析を行うにあたってはとても大切なことです。
 先日ある月曜日に所用で岡山市内へでかけ、夕方にクリニックへ戻ってきました。自動車のひしめく街から郊外へ抜け、吉備路へ入ってきますとちょうど桃の花や菜の花が沢山咲いていました。確かに便利さや刺激という点ではやや見劣りするかもしれませんが、私たちが毎日を過ごしているこの町は緑に恵まれ人も気候もおだやかです。健康的に暮らすのに向いたところだなと日々実感します。
 何とかミクスによって本当に国の経済がよくなるのかは分かりませんが、景気が良くなるたびに若者たちの都市部への流出が加速するのは事実だそうです。しかし子供の育つ環境や少しずつ年をとっていく自分達のこれからを考えると、都会の生活ばかりがいいとは言い切れません。そして我々がこの地で医療を続けていくには、若い力を継続的に集めていくことが不可欠です。四季の変化を感じながら、岡山の良さ、総社の良さを何かの形でアピールできたらなあと思います。皆様どうかご協力くださいませ。

もみじ6月号 四方山話より