2013年5月

ある会社が毎年小学生に将来なりたい職業を尋ねて集計を取っているのですが、今年も男子の上位はスポーツ選手やパイロット、女子ではパティシエや保育士が人気のようでした。これが大学生になると公務員が上位にくるそうですが、医師・看護師など医療職の人気はどうなのでしょう。
 なぜこの職業を目指したのかという問いに対しては「人の役に立ちたいから」「社会に貢献したいから」という模範的なものから「生活や収入が安定しているから」「社会的に評価されるから」という現実的なものまで様々です。我々中高年以上の世代でも、ふと“私はなぜ毎日こんなことをしているのか”と自問してしまう時はないでしょうか。
 「自分のためは人のため、人のためは自分のため」ということを時々考えます。昨今人と人のつながりが薄くなったなどと言われますが、実際にはまだまだ我々はお互い密接な関わりの中で社会生活を営んでいると私は思います。買い物をする、掃除をする、仕事に行く、人と話をする、病院に行く、それらは全て自分のためでもあり同時に他の人のためでもあるはずです。
 医者や看護婦といっても人間であり自分自身が問題を抱えたり大切な人を失ったりして苦境に立つこともある訳ですが、そんなときに仕事をして患者さんと関わっていることで救われたという話を時々耳にします。「病気で苦しんでいる方々を助けるために、私は医師になることを決めました」と高らかに言い切る先生は大変立派です。あべこべに私などはどう考えても、「助けられてここまで来てしまいました」と白状せざるを得ません。
 “明日があるさ”という歌の中に「会社のため、自分のため、答えは風の中」という一節があったように記憶しています。なぜ我々は悩んだり困ったりしながらも日々の営みを続け、前に歩き続けるのか。うーん…「答えは風の中♪」と歌ってみてはダメでしょうか。

もみじ5月号 四方山話より