2013年3月

日々の診療では患者さんから趣味の話を伺うこともあるのですが、歌うことを趣味として積極的に続けている方が何人かおられます。それもスナックやカラオケで歌ったりするのではなく、コーラスやレッスンに近い形で何人かで合わせて歌う方が多いようです。あまりお金もかからずにストレス解消ができて、しっかり歌った日はよく眠れるのだとか。確かにこれは無理なく続けられる良い趣味だと言えそうです。
 そういえば高校ぐらいを最後に、大勢で声を合わせて歌うということからは遠ざかっているのが大方の現状ではないでしょうか。卒業式や入学式など、春を迎えた学校では色々と全校で一斉に歌う機会があったものでした。当時は面倒くさいなと思いながらいい加減に歌っていましたが、私も最近では歌うことへの見方が少し変わってきました。
 一人朗々と謳い上げるのもよいのでしょうが、やはりみんな一緒というのがポイントなのだと思います。高齢者介護施設での活動メニューにおいても合唱は定番であるようで、他の人と共に普段とは違った何かをすることが気持ちを前向きにしてくれるのでしょうか。軍歌のように集団の戦意を高揚したりするのは昨今ではいかがなものかと思いますが、気分を盛り上げたり人の結束を固めたりする歌の効果は昔から注目されていたようです。きちんと検証してはおりませんが、合唱を趣味としている患者さんは腹筋をしっかり使うためか血圧や血糖値にも良い影響が出ているような気がします。
 私自身は別に声が良い訳でも歌がうまい訳でもありません。ただ趣味として音楽はよく聴くので、自分の好きな曲が自然に鼻歌で出てくることぐらいはあります。しかしクリニックでの診療や経営に、歌や音楽をいきなり取り入れたりするのはどうも唐突な感じがします。私も人前で歌うのは少々気恥ずかしいので、密かに鼻歌でリラックスタイムを作っていこうかと考えております。

もみじ3月号 四方山話より