2013年11月

今年の猛暑は記録的な長さといいますか、10月に入っても35℃を記録したところがあったと聞きました。もういい加減に暑いのはご勘弁を、と思っていたら月の半ばからは漸く涼しくなりました。季節の移り変わりがあるというのは有難いものです。
 こうした気候や天候にまつわる問題は、いずれは状況が好転するということを我々が経験的に知っているからまだ何とかなるのかもしれません。大災害で電気や水道が止まった時には、あと何日で復旧するのか、いつになったら支援物資が届くのかという情報が強く求められます。「あと三日頑張れば」というような先の見通しというのが、その日一日を何とか耐える力の元にもなると言えます。
 しかし我々が実際に抱えている問題や課題には、いつ解決の目途が立つのか分からないものの方が多いようです。「おお、私が今までやってきたことは、一体何だったというのだ…」少々芝居じみていますが、冷たく硬い壁の前で頭を掻きむしりながら言いたくなるような気持ちが、私も多少は理解できるようになってきました。
 いつまで我慢していたら次への展望が開けるのか、どうすればこの状態から抜け出せるのか。答えのない問いに気持ちが塞ぎかけた時、すぐ傍らで誰かの明るい笑い声が聞こえたりします。あるいは子供たちがわいわいと遊び、騒いでいたりします。希望という言葉を思い浮かべ、まあ大丈夫でしょう、と気持ちが切り替わるのはそんな時です。
 ただひたすら悶々と耐えていても、何かを恨んでみても、多分いいことは起きません。天候や気温はあっという間に変化することがあり、災難や苦労も過ぎてしまえば何だったんだろうという時があります。一人の願いや思いが半ばで終わっても、周りの人にはまた何かが受け継がれていきます。暑かった時期から一気に肌寒くなったのを感じながら、誰にでも等しく与えられるこの希望について、改めて考えています。

もみじ11月号 四方山話より