2013年10月

 東京でのオリンピック開催が決定し、久々に多くの人が沸き返るようなニュースとなりました。オリンピックともなれば期間中には世界中から多くの人が日本を訪れることになります。7年後に向けて今から準備に余念のない方々が大勢いることでしょうし、開催が決まった以上は日本人として胸を張ってこの世界の祭典を迎えたいものです。
 その一方でこのところどうも気になるのは近隣の国々との関係です。領土問題だけでなく、いたずらに他国に対して攻撃的な感情をあおるような言葉を見かけることが増えてきたように思います。他の誰かを攻撃することで自分達の一体感を高めるというのはどこでもよくある光景ですが、大体において生産的な結果を出していない気がします。
 外国との関係だけでなく、国の中であっても細かく分けていけばそこには無数に立場の違いが存在します。都会の人と地方の人、病気の人と健康な人、男性と女性、医者と患者、若者と高齢者、巨人ファンと阪神ファン、所帯持ちと独身者、まあとにかく様々で、人はみなそれぞれ立場も好みも考え方も違うものです。大勢の人が集まった時に、喧嘩も対立も足の引っ張り合いも全くなしですむと考えるほど私は楽天家ではありません。むしろある程度の戦いぐらいあった方が健全だと思うのです。しかし本当に巨人が消滅しちゃったら阪神だって困るでしょう。怖いのは相手の存在すべてを否定したり、他人を一方的に支配したりしようという考え方です。
 2020年までに国の大借金や加速する高齢社会をどうするのか、世界はそんな点からも日本を注視しています。既に潤沢ではないお金を建物や施設の整備に使うのか、それとも医療や社会保障に回すのか。あちこちでの色々な対立を乗り越えて、みんなが、本当の意味でみーんなが元気でオリンピックを迎えられることを祈っています。

もみじ10月号 四方山話より