2012年9月

 まだまだ残暑は続きますが既に9月となり、子供達の夏休みも瞬く間に終わってしまいました。夏休みと言いますとオリンピックや高校野球の選手達を応援したり、お盆に家族で集まってお墓参りをしたり、スイカや桃を食べ過ぎたり、原爆記念日、終戦記念日に戦争の悲惨さを思ったりと、毎年おなじみになった情景が思い浮かびます。いつもと同じような夏をみんなと一緒に当たり前に過ごせることには、暑い中にもそこはかとない安らぎが感じられます。
 先日知人と夏休みの話題になりました。欧米の事情に詳しいその方によると、あちらでは腕のいいお医者さんほどしっかり夏休みをとるのだそうです。いわゆるバカンスですね。本当かどうかは分かりませんが、毎日仕事漬けの身としては色々と考えさせられる話ではあります。しかし今更長いお休みをもらっても、本当に楽しく過ごせるかどうか私には自信がありません。もし旅行するにしても、子供達を引き連れて行くとどうなるでしょう。旅先で上の子が喧嘩を始めたり、末っ子がおもらししたり、誰かが急に熱を出したりと、悪い想像ばかり働いて計画の段階で気持ちが挫けてしまいます。
 世の中に目を向ければ、とても心からリラックスして休暇を満喫できる雰囲気ではありません。特に年金や社会保障の問題は深刻です。働いて社会を支える側に回る人の割合をもっと増やさなければ、医療や福祉などは本当に崩壊しかねないことが指摘されています。我々の世代でもし20年後に腎不全になったとしても、今のように医療を受けさせてもらえるかどうか全く分かりません。しかし自分は休んでおいて人にばかりもっと頑張れと言っても仕方がない気がします。
 昼寝や散歩にプールで水泳といった地味な手段ばかりですが、私は半日ないし数時間の細切れな自由時間でもリフレッシュに活用できるようになってきました。欧米流のバカンスには程遠いのですが、居酒屋でビールを飲んだり線香花火で遊んだりと、ずっと変わることのない日本の夏を家族や友人と共に過ごしております。こんな穏やかな日常をみんなで末長く過ごせるよう、只ただ願うばかりです。

もみじ9月号 四方山話より