2012年6月

毎年6月には周りの田んぼでゲロゲロうるさいくらいの大合唱が繰り広げられます。そのあとには無数の卵やおたまじゃくしが出現するわけで、水を張った田んぼがカエルくん達には貴重な出会いの場であることが分かります。私の学生時代、新学期や新年度にみんなが慣れてきた6月ごろには盛んに合コンが開催されていました。若い男女が飲食店などに集まってお互いを紹介し合うのですが、今でも若い方々はそんな出会いの機会を作っているのでしょうか。
 
先日こどもの日には、今年も子供の数が減っていると報じられました。先進国の中では出生率の優等生と言われるのがフランスで、今度の新しい大統領も事実婚で子供を4人もうけているとのことです。男女の結びつきには様々な形があるのでしょうが、フランスでは入籍していない事実婚も認める柔軟性が出生率の一端を支えているという指摘もあります。
 少子化は依然として社会の難問であり続けています。国が豊かになって子供が減ったというのは、ローマ帝国の昔も同様だったそうです。私の母ぐらいの年代の方々は団塊の世代と言われ、戦後の混乱と食糧不足の中で日本史上空前の出生数が記録されました。空襲後の焼け野原でどうしてそんなことになったのか。亡くなる少し前の祖父に訊いてみたところ「なーに、みんな夜になったら他にすることがなかったんよ」と言われましたが、あれは冗談だったのでしょうか。
 いつの時代でも年が幾つになっても男女の関わりとは私たちとって決して小さな問題ではありません。長生きをされている患者さんと接していてよく思うのは、ある意味の色気を持ち続けている人が意外に多いことです。つい先日ある80代の女性に教えを賜りました。「男には四つの大事な“ぼう”があるのよ。ひとつは辛抱、ひとつは仕事の相棒、ひとつは女房。でもいちばん大事な“棒”はね・・」と含み笑いをされていました。こういう話、私は大好きです。ただし男性の皆々様におかれましては病院内では異性への関心は心の中にしまっておいて頂き、不適切なご発言や行為のゆめゆめなきよう宜しくお願いを申し上げます。

もみじ6月号 四方山話より