2011年6月

 私事で恐縮ですが今年に入ってからどうも心身の不調に困っておりまして、特に2月以降は風邪ばかりひいてへたばっていました。ごほごほ咳き込んだり鼻声だったりと患者さんにも随分ご迷惑をおかけ致しまして、医者の不養生とは正にこのことと反省しきりです。うがい手洗いに早めの休養などは心がけていたのですが、どうしてこうやたらに風邪をひくのかと考えてみました。ふと気がついたのが運動不足です。
 多くの患者さんと接する中で思うのですが、農作業やゴルフに散歩など運動の習慣のある方は持病があっても比較的元気に過ごしておられることが多いようです。調子がいいから運動できるのか、はたまた運動しているから体調が落ち着くのかは鶏が先か卵が先かというような難問ですが、実際多くの慢性疾患で適度な運動の効用が示されています。風邪を引くことを恐れる余り屋内に引っ込んでばかりいるよりは、ある程度体を動かして血液のめぐりや全身の代謝をよくするのも予防の一つとして有効なのかもしれません。
 もう一つ雑誌を読んでいて興味深いと思ったのが、公園や森林、田畑や牧場など緑の多い環境に多く接する人の方が健康を保ちやすいという研究です。感覚的にはまあそうだろうと納得はできますが、大まじめにきちんと研究されて論文になっているところを見ると改めて自然を感じる大切さを教えられる気がします。車で家と職場を往復するだけの毎日が続くと、生き物として大切な何かが損なわれてしまうのでしょうか。
 そこで私も遅ればせながら一部の患者さんを見習って、屋外で歩く時間を積極的にとるようにしてみました。中年になって運動と言うとついダイエットかと考えがちですが、体重や血糖値のことはひとまず脇に置いても季節の変化を感じながら体を動かすことがおそらく体にいいのでしょう。気候のいい時期はともかく暑い夏や寒い冬にも歩き続けることができるのか、我ながら怪しいとは思いますがともかく頑張ってみたいと思います。

もみじ6月号 四方山話より