2011年11月

 111日をもちまして当院は開院24周年を迎えました。関係各位の皆様に厚く御礼申し上げますと共に、今後益々のご指導ご鞭撻を賜りますよう心よりお願い申し上げます。本当に長く続けられるというのは有難いことで、皆様と当院とのよりよい関係をこれからも築いていくことができれば何よりと考えております。
 人と人との出会いというのは縁あってのものだと最近つくづく思います。「いいクリニックだという評判を聞いてこちらへ参りました」と言って頂くと院長としては大変嬉しいのですが、正直「たまたま家から通いやすい所にあるから」とか「他に適当な所もなさそうだから」という理由が当院との馴れ初めだったという方もおられると思います。「そもそも来たくて来ている訳じゃない」と、はっきり言われて返事に困ってしまうこともあります。しかし色々な方から必ずしも積極的に選ばれている訳でなくとも、私はそれほど悲観していません。
 戦前には結婚の大多数を占めたというお見合いも、最近は全体の一割にも満たないそうです。とは言えお互い好きで結ばれた筈のご夫婦にも、数年も経たないうちにすきま風が吹いていることがあります。そして20年も一緒に暮らしていると、一体この相手のどこが良くて結婚したのか忘れてしまうこともあるようです。しかしやはり長い年月をともに過ごした間柄には、他には代え難い何かがしっかりと根付いているのでしょう。簡単な言葉では言い尽くせないものが人と人とを結びつけていることがあるのだと思います。
 熱烈な愛情も熱狂的な支持も、残念ながら長続きはしないのが世の常です。大した理由はないけれど何となくここで誰かと一緒にいる、というのは意外に大切なことなのかもしれません。「少し愛して。長ーく愛して。」というのはその昔テレビで流れたお酒の宣伝ですが、なかなか味わいのある言葉です。長いお付き合いに甘えてマンネリや惰性に流されるようなことなく、今後も皆様と穏やかに末永く歩んでいきたいと願っております。

もみじ11月号 四方山話より