2010年6月

最近はインターネットや新聞の折り込みなどで「えっ、その年齢に見えない!」などとうたった化粧品や健康食品の広告をよく見かけます。つるつるのお肌や疲れを感じない体力など、いつまでも若く健康でありたいという人がそれだけ多いのでしょう。先日ある会合で大勢の大学生と同席しましたが、普段は若者と接することが少ない私は少々戸惑うところもありました。日一日誰でも確実に歳をとっていきますし、月日の流れだけはどうにも動かせないものです。
 年齢をどう評価されるかは性別、社会的立場によっても違います。英国で43歳の首相が誕生したとのことで新聞には「若い」とありますが、同じ年で野球やサッカーの選手だったら「大ベテラン」と言われます。初対面の人からいきなり「あの、先生はおいくつなんですか」と笑いながら尋ねられることもある私ですが、40歳も近くなってきますと多少はシミやシワが出てきてあちこち痛くなることも増えてきます。体力が落ちたのを実感するのは嬉しくありませんが、特に男性としては若いと言われるのを喜んでいいのかどうかも微妙です。貫禄とか経験豊富なという表現もありますが成熟した大人の存在はどんな所でも大切で、若者ばかりでは物事に何かと不都合が生じてきます。
 しかしいくつになっても心の中にどこか若々しい部分があるのは好ましいことでしょう。米寿を迎えたうちの祖母は「これは何かな。はあ、ポケモンていうんかな」と曾孫相手に喋っています。祖母は長年リウマチを患っていますが、気持ちに若さや好奇心があると病気に負けない強さや回復力が出やすいような気がします。新しいものや異質な存在に接して、拒絶せず柔軟に関わる姿勢がいいのでしょうか。
 化粧品や健康食品には結構お金もかかります。子供や若者と一緒にいると疲れることもあるのですが、その疲れとは若さがこちらに多少移ってきたしるしかもしれません。「10歳若く見られました!」という広告も気になりますが、元気で長生きする一つの鍵は好奇心や柔軟さにもあるような気がします。

もみじ6月号 四方山話より