2010年3月

 三月三日は誰でもご存じの桃の節句でして、女の子のいるお宅では雛人形を飾ったりお寿司を食べたりする所も多いと思います。この行事の起源や元来の意味などはどうも我々の間では曖昧になっていますが、女の子の今後や将来の幸せを祈るような気持になるのは誰でも同じでしょう。しかし女の子や女性の幸せとは一体どんなものなのか、改めて考えてみるとよく分からないものです。いい相手と結婚して円満な家庭を、という具合に決めつける訳にもいかないご時世です。
 当院も一種の事業所ですので、県や市から男女共同参画に関する書類やお知らせが来ることがよくあります。男女雇用機会均等法という法律が出来た頃から、女性の社会進出を積極的に後押しする考え方は一般的になりました。最近では家事をこなす男性の割合も増えつつあり、更に男性の育児休暇が検討されるなど男性と女性の差をなくそうという傾向はあるようです。その一方でセクハラやDVなどの問題に、クリスマスイブやバレンタインデーといった行事など男女の性差を前提にした社会現象も無くなる気配はありません。
 海外では女性が大企業の経営に携わったり大統領選挙に出馬したりという例も増えてきました。日本では仕事や女性関係にあまり積極的でない『草食系男子』なる男性が注目されたり、女性の方が元気がいいと言われたりしますが実際には女性のトップはまだまだ少数派です。医療もまた女性の力なしでは決して成り立たない分野ですが、いかにして女性がより働きやすい環境を整備するかという問題にはまだ終わりが見えません。『かかあ天下』や『亭主関白』といった言葉も古くからありますが、男と女のあり方とか幸せや成功の形というのは人それぞれでもありまた時代と共に変遷するということでしょうか。
 色々考え出すと、益々分からなくなってきそうです。うちにも二人の幼い娘がおりますがここはひとつ基本に返ると言いますか、雛人形を引っ張り出して雛あられでも食べながら単純素朴に自然な形で彼女たちの幸せを願いたいと思います。

もみじ3月号 四方山話より