2010年2月

 お正月が過ぎてしばらくたった連休に、毎年おなじみになった光景がテレビで報道されます。羽織袴やスーツを着ておめかしした若者の集団が、市長さんや警察の人と押し合いへし合いしている場面です。我々はこうしたニュースに慣れてしまいましたが、日本のことをよく知らない外国の人が見れば不思議に思うことでしょう。成人式を主催する方々も本当に大変だなと思います。
 お酒は二十歳を過ぎてからなどと言われ、満20歳をもって成人であり大人であると認める考え方は一面ではすっかり定着しています。二十歳をとうに越えた私も、子供たちには「お父さんは大人だから」などと話しているような気がします。「大人気ない」、「大人っぽい」という表現もあり、反対に「子供っぽい」と言われれば誰でも心中穏やかではいられません。大人になるというのは一体どういうことなのか、人はいつから本当に大人であると言えるのか、言葉で説明するのは中々難しいものです。
 個人差もあるでしょうが、以前に比べて最近は全般的に人が大人になるのが遅くなったと言われることがあります。一方で体の成長は少し早まっていると言われ、良いか悪いかは別として二十歳前でアルコールや喫煙、性行為などに馴染む人は実際珍しくありません。初めてタバコを吸ったとき、何だか大人になったような気がしたという人もいると思います。一人前の大人には様々な自由や権利が認められます。子供には分からない喜びや楽しみも色々あります。しかし他人や周囲への配慮もなく、自分の権利を主張したり快楽を追求したりするばかりではちょっとまずいかもしれません。
 若いつもりの私も数えでは不惑と言われる年になってしまいました。人並みにストレスを感じることや疲れ切って茫然とすることもあります。一方で子供の頃には想像もできなかった幸せを感じる時があるのも事実です。お酒を飲んだり、お出かけしておいしいものを食べたりすることだけが楽しみや幸せの形ではない筈です。言葉では表現しきれない大人の喜びを、子供達や若い人に示していければ本当の大人になったと言えるのでしょうか。

もみじ2月号 四方山話より