2009年11月
 新型インフルエンザの話題が毎日続いています。未知の感染症に遭遇する経験はほとんどの人が初めてであり、あまりに不確定なことが多いため申し訳ありませんが皆さんからのご質問にも十分お答えできておりません。対策にしても国はもちろん世界中で手探りしておりますが万全と言い切れることはなく、日々情報を集めては少しずつ決断を下していくしかない状態です。
 しかしどんな状況でも慌てず騒がずということは大切で、現実的にできるだけのことをした後は腹をくくるしかないとも思います。あまり大きくとりあげられることはありませんが、一定時間は休養を取るということも意識的に行うべきでしょう。これから数ヶ月に及ぶ秋冬の時期をインフルエンザという有難くない来訪者の相手をしつつ乗り切るには、患者さんも周囲の人々も共に効果的な休養が欠かせません。不安に駆られて右往左往することが、却って悪い結果を呼ぶことも考えられます。インフルエンザが流行るからといっても日常の仕事や療養に加えて家事に介護や子育て、社会的な付き合いなど普段からやらねばならないことが別に減る訳ではありません。むしろ非常の時であるからこそ、平常の営みを着実にしておくことが必要だと言えます。
 この大変な時に何をのんきな、と思われるかも知れませんが私の日課には仕事の資料や自分で選んだ本など様々な文章を書き写してみる時間があります。取っつきにくい文章でも紙とペンを使って無心に書き写しているうちに何事かが伝わってきます。不安や苛立ち、疲労などにとらわれがちな時、とにかく手や体を動かしてみることも心身に思わぬ好影響を及ぼしてくれると感じます。家事や農作業などで同じような経験がある方も多いのではないでしょうか。
 この度のインフルエンザ流行もいずれは終息するはずです。まだしばらく不安な日々は続きますが、これからも休養と行動とを適度に組み合わせた対策を取っていこうと考えております。
もみじ11月号 四方山話より