2006年7月
 この一、二ヶ月テレビや新聞で大きく取り上げられたサッカー日本代表は、残念な結果に終わりました。テレビや新聞などでは、貧しさや厳しい環境からはい上がってきた他国の選手に比べて日本の選手はどこかひ弱なのではないか、というコメントがありました。様々な国の若者にとってサッカーが生活の厳しさから抜け出す手段であることは事実で、有名選手ともなれば高額の報酬を手にすることができます。
 Jリーグというプロ組織ができて以来、日本でもサッカー人気は徐々に高まっています。子供を対象にしたサッカークラブは全国で増え、揃いのユニフォームに身を包んだ子供達がボールを追っています。クラブの運営、用具の費用など、子供にサッカーをさせるのにもお金や手間暇がかかるようです。しかしサッカー王国ブラジルの選手は高額の年俸を貰う一方で、子供の頃でこぼこのグラウンドでぼろぼろのボールを蹴っていた人が多く、ユニフォームはおろか靴さえ満足に履けないことがあったそうです。国家のサッカーを強化するには教育や環境整備にお金をかけるべきなのか、スター選手になってお金持ちになりたいというハングリー精神を重視すべきなのか。この問題に答えるのは困難ですが、ただ根本的にサッカーが大好きなんだという人が増えなければどうにもならないと思います。
 サッカーのようなスポーツであれ勉強であれ、子供や若者の教育にお金をかけ、大人が熱心に応援すればすぐに成績があがるわけでもないようです。周りが一生懸命お膳立てしてあげても、結局やるのは子供自身、若い人たち自身です。逆に言えば大人の方が本当にスポーツ好きだったり本を読むのが好きだったりすれば、若い人にもいい影響がいずれ出てくるでしょう。家庭でも職場でも、子供や若い人は大人達の姿を自然に吸収します。色々な分野で教育や若手育成の問題が議論されますが、指導する立場の人がお金や自分の利益などにとらわれていてはいい結果は出ないでしょう。本当に仕事が好きなのか、本当にサッカーが好きなのか。そんなことが問われている気がします。
 ところでうちの子供もサッカーに興味を示し始めました。しかし親の体育の成績は悲惨でしたので、まあほどほどにやってくれたらなあと考えております。
もみじ7月号 四方山話より