2006年6月
 うちの近所の或るスーパーは定期的に、倉敷の下津井港でとれた新鮮な魚を売り出しているそうです。家内がそこでシズ、イサキ、カワハギなどをよく買ってくるのですが、実は私、こういう瀬戸内海の魚たち、特に白身の魚が大好きです。いわゆる高級魚や名物というわけではありませんが、お刺身を始め、おつゆや煮付け、様々な形で大変おいしく食べられます。東京のあたりに住んでいる人に伺うと、あちらでは魚といえば赤身の魚や青魚が主流であって、白身の魚を日常的に食べるという食習慣は一般的ではないようです。私から見ると何ともお気の毒な話です。
 新鮮な食材といえば、この総社近辺では桃や葡萄といった果物が有名であるほか、トマト、キュウリ、セロリ、しいたけ、などの野菜類を栽培している方も大勢おられます。またワラビやたらの芽、まいたけといった山の幸の収穫場所を大切に守っている方々もおられます。元来私は食材の旬というものには疎い方だったのですが、総社で働きながら近くでとれた四季折々の食材を頂くことが増えるにつれて、なるほど恵まれているとはこういうことか、と実感するようになりました。
 最近はテレビや新聞でも生活習慣病という言葉が日常的に出てくるようになりました。と同時に料理番組は有名店の自慢料理をこれでもかとばかりに放送し続けます。おいしいものをお腹一杯食べたいという願望は人類共通といっていい位の至極健全な欲求です。そして我が国での爆発的ともいわれる糖尿病、高血圧の増加は、食生活の欧米化と関連があるとも言われています。
 子供たちに正しい食習慣を身につけてほしいという『食育』なるものが少しずつ広がっているそうです。そこでのポイントとして「旬のものを食べる」「地元でとれたものを食べる」ということが提唱されています。ラーメンに焼肉、中華料理や洋食も勿論おいしいのですが、瀬戸内の魚介類や吉備路の野菜・果物といった新鮮な地元の素材にも世代を超えた魅力があると思います。当院の厨房からお届けする透析食も、折々の季節感を大切にと心がけております。ただし、どんな食材、料理でも食べすぎは体に障りますので、それだけはくれぐれもご注意願います。
もみじ6月号 四方山話より