2006年4月

4月になりますと漸く寒い日も少なくなり、本格的に春が来たなと実感します。春になり暖かくなるのは歓迎ですが、春先のあまり嬉しくない来訪者が花粉症でして、当院でも多くの方が鼻水や眼のかゆみを訴えられております。この厄介な病気は数十年前まではあまり見られなかったとのことです。悪の根源のように言われるスギにしても、子供の頃はスギの木を揺さぶって花粉を飛ばして遊んでいたと言う方もおられ、花粉を飛ばす“スギ鉄砲”なる遊びもあったそうです。 花粉症というのはアレルギー反応であって、本来身体を守る免疫機能の異常だと言われています。免疫、つまり身体によくない異物を攻撃して除くための機能ですが、これが異常に働くとかえって身体に不利益をもたらすわけです。アレルギーは過敏症とも言われ、実は花粉症に限らず、喘息や食物アレルギーといったアレルギーの病気が若い世代を中心に増えているそうです。何故そうなったのかは分かりませんが、我々の身体は様々な物に対して、だんだん過敏に反応するようになっているのでしょうか。異質な物に過敏な反応を示すのは、どうも身体だけではないようです。最近様々なところで、「絶対に許せない」とか「よそへ行って貰いたい」というような表現に接することが増えていないでしょうか。自分と対立するもの、相容れないものは完全にシャットアウト、異質なものは徹底的に排除しますといわんばかりの雰囲気を感じます。しかし花粉に対して身体が敏感になりすぎても困るように、実際の生活でも自分に合わないものを排除しようとするとするばかりでは逆に疲れてしまうのではないでしょうか。これは嫌、あれはダメというアレルギー的な反応から解放されるには、ちょっと好い加減なところがあってもいいようです。世の中には民族、宗教を軸に鋭く対立し争いを続ける地域もありますが、結婚式はチャペルでやって、お葬式にはお坊さんが来てお正月には初詣という現代日本の宗教的に何でもありといういい加減さが私は結構好きです。多少の違いには眼をつぶって、まあいいか、とお互いの存在を認め合うような寛容さがある方が暮らしやすいような気がします。もちろん花粉症はこうした気の持ちようでは治りません。くしゃみ鼻水でお困りの方はお早めにご相談下さい。

もみじ4月号 四方山話より