2005年3月

例年この時期になりますと、受験や進学、就職といった話題がニュースでも身近な所でも話題に上ることが多くなります。若い人の今後や将来というのは誰にとっても気がかりなもののようです。最近は若者の衝動的な不法行為が報じられることも多く、特に幼い子供を対象とした非道な行いには新聞を読んでも胸が痛くなります。
 今どきの言い回しで「キレる」という言葉がありまして、憤りや怒りといったマイナスの感情が、突然暴発するようなときに使われるようです。若者がキレやすくなった、ちょっとしたことを大人に注意されただけで「うるせえ!」などと乱暴な言葉を吐くようになった、ということが成人式の混乱ぶりなどと一緒に話題になっています。自分に対して面白くないことを言う人間は許せない、ということなのでしょうか。そんな若い人に対して敢えて苦言を呈する大人も減っているようです。こちらが正しいと思って注意してもあべこべにやっつけられたり恨まれたりするのでは割に合わないと感じるのは無理からぬ事です。 
 大人同士の間でも「いさめる」とか「たしなめる」といった言葉があまり使われなくなりつつあるのでは、と感じることがあります。いくら大切な事を話してみても、相手が聞く耳を持っていなければ無駄に終わる、ましてやこちらに対して悪い感情を持たれたりしてはたまったものではない、と誰でも考えたくなります。しかし大人が自分より若い人に対して物の道理を諄々と説いて聞かせる姿がなくなってしまうのは寂しいものです。人からの指摘に、はっとさせられ自分の非を悟ることは度々経験しますし、そんなときには相手を恨むよりむしろ感謝したくなります。
 当院にも様々な方々から様々なお言葉を頂戴致しますが、その中には苦言、諫言というものも当然含まれております。院長の私からして全くの若輩者ですが、周囲の方からの励ましや感謝のお言葉と共に、お叱りにも十分応えて行かねばなりません。皆様の率直なご意見に耳を傾けていく中に、若いクリニックの将来があると考えております。

もみじ3月号 四方山話より