2004年8月
9月になると災害防止に関する呼びかけをよく耳にするようになります。「災いは忘れた頃にやってくる。」などと言いまして、事故や災害、犯罪による被害といったものは思わぬ時に私たちに降りかかってきます。“忘れた頃に”というのがミソで、誰でも事故に巻き込まれたり自分の家や車に心ないイタズラをされたりする直前までは、まさか今日自分がそんな目にあおうとは夢にも思っていない訳です。新聞に出てくるような大きな事故、少し前に報じられたビルの回転ドアや原子力発電所の配管破損などにしても、遺族や報道陣の前で謝罪していた人たちはまさか自分の在任中にこんな事故が自分の会社で起こるとは予想もしていなかったのではないでしょうか。
事が起こってから「しまった。あそこでこうしておけばよかった。」と後悔するのもよく経験することです。天災、人災を問わずほんの少しの備えや注意の有無が被害の防止や最小化につながる、と言葉ではわかっていても実感を伴うのは悲しいことに痛い目に遭った後です。
現代はストレス社会と呼ばれます。そして真面目な人ほどストレスをため込みやすい、とも言われます。仕事のこと、家族のこと、誰でも日常に大小様々な問題を抱えて日々を送っているわけですが、そんな日常の中に災害、事故という非日常が突然やってきます。対策というと「気を付けましょう、注意しましょう」という呼びかけが大半ですが、日常の気持ちの中にゆとりを持つということも大切なのではないでしょうか。何か特定の事に気を取られていると、他のところがおろそかになりがちで、他人から見れば本当に簡単なこと、単純なことをやらずにすませてしまったり見逃してしまったりします。無我夢中、頭がいっぱい、と言う状態は災害防止という点からいうとあまりいいことではないように思います。
医療での事故・トラブルの防止というのは私の中で大きな問題です。今月はちょっと立ち止まって深呼吸でもしてから、日常の仕事とはちょっと離れた眼でまわりを見回してみます。