水分管理と体重コントロール

透析を行なっている皆さんにとって、毎日の飲水量はもっとも関心のあることではないかと思います。夏場から冬にかけて、汗をかかなくなり、体重の増加が多くなる方がふえています。年末も近くなり忘年会など食事をする機会も増えてきますので、注意が必要です。透析患者さんの直接死因として心不全が第一位であり、透析間の体重の増加が多い場合には死亡率が高いとのデータも出ていることから、水分管理がとても重要です。
水分と塩分

大人の体重の約60%は水分です。このうち血管の中にある水分は5%程度です。
 食べ物や飲み物に含まれる水分は、血液の中に取り込まれ、血液中の余分な水分は尿として出て行きます。透析患者さんでは、尿量が減少、もしくは無尿状態になっているため、体の中に水分がどんどんたまっていきます。この体の中にたまった水分が「体重増加」になります。大幅に体重が増加した場合は「むくみ」「血圧の上昇」などの症状が現れ、心臓や血管に大きな負担をかけることになります。

 水をそれほど飲んでいないのに透析間の体重増加が多い場合は、食品に含まれる水・調理の水・うがいの水をチェックしましょう。特にうがいの回数が多い場合は要注意です。うがいの水の1/3もの量を飲んでいる可能性があります。

 また、喉の渇きが強いときは、塩分を取りすぎていないかをチェックしましょう。塩分をたくさんとると血液中の塩分が濃くなって、喉の渇きがつよくなります。また、血液中の塩分の割合は一定に保たれているので、塩分8gをとると1Lの水が体にたまることになります。塩分のとりすぎは、体重増加につながります。外食が多いときは特に気をつけましょう。また、冬場は暖房の使いすぎでも、口が渇きます。 

体重コントロールの目標
日常の透析では、透析終了時の体重をドライウェイト(適正体重)を目標に除水が行なわれます。当院では透析間の体重増加は、1日あきでドライウェイトから3%以内、2日あきで5%以内の体重増加量としています。この範囲内での体重増加では、体に負担をかける事なく透析中の血圧低下や下肢の筋肉痙攣などを起こす事が少なくなります。特に高齢者や糖尿病性腎不全の患者さんの場合、透析中に大量の除水を行なうと血圧低下が起こりやすいので、正しい水分管理が大切です。