骨粗鬆症とは?

 骨の中のカルシウム、たんぱく質、リンの量が少なくなるために、骨の密度が小さくなり、骨が非常にもろくなる状態をいいます。一般的には、特に高齢者、閉経後の女性に多くみられます。又、透析患者さんでは、副甲状腺から分泌されるホルモン(一般的にはPTHと呼んでいます)が分泌亢進する事により、カルシウムが血液中に溶け出してしまい、骨粗鬆症を引き起こしやすくなります。

(症状)
・腰が重く感じる

背中、腰の痛み
体を急に動かした時の鋭い痛み
くしゃみや、転んで手をついた時に骨折しやすい
背骨が曲がる
身長が小さくなる

などといった症状がみられます。
 
 治療法では、当院で、骨の吸収を保つビタミンKやカルシウム不足などを改善すると共に、骨代謝に必要なカルシウムを吸収する活性型ビタミンDなどの薬剤で治療します。日常生活では、運動する事によって、骨の周りの筋肉をつくるので適度な運動をこころがけましょう。

骨粗鬆症の検査方法


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単純X腺検査…レントゲン撮影をして、骨の変形や骨折がないかなどを調べる。
A骨塩量(骨密度)検査…骨塩量を測定する。
B尿検査…尿中のCaなどを測定する。
C血液検査…血液中のCaPなどを測定する。
などがあります。

 当院の場合、
2回、骨塩量の測定を行っています。図1に健常人の骨塩量の正常値を記載します。透析患者様の場合、導入後から3年ぐらいの間は低値を示しますが、4〜6年くらいで改善がみられます。以後は透析年数と共に徐々に低下していきます。結果に関しては年齢、性別、疾患などによって個人差がみられます。

骨粗鬆症を防ぐ食事療法

 一般的に、骨粗鬆症の食事療法と言えばカルシウムを多く含む食品を摂るように指導します。透析患者さんの場合、全てが当てはまるわけではありません。
 例えば、カルシウムを多く含む食品を積極的に摂れば、リンやカリウムのデータが高値になってしまう場合がありますし、患者さんによっては炭酸カルシウムなどの薬剤を使用されている方もおられます。
 いずれにしても、食事でカルシウムを補給する場合は、個々の食事の指示範囲内でカルシウムなどを多く含む食品を取り入れるようにしましょう。下記にカルシウムを上手にとるポイントを示します。

●カルシウムを上手にとるポイント
(おすすめは乳製品のカルシウム)
 乳製品のカルシウムは、他の食品より吸収率が良いのが特徴。しかし、リンを多く含む食品であることを忘れてはいけません。リンの気になる人は、低リンミルクを活用するのも良いでしょう。

ビタミンDでバックアップ
  カルシウムの吸収を助けてくれるビタミンDは、普通に戸外に出る生活をしていれば、日に当たることによって皮膚で作られます。食品では、干し椎茸、魚や肉の肝臓、バター、卵黄に多く含まれていますが、リンを多く含むので注意が必要です。

タンパク質は多からず、少なからず

 タンパク質の摂りすぎは、カルシウムの利用を悪くします。決められた指示量を守り、1日3回規則正しく、バランスの良い食事をとりましょう。

加工食品のリンに注意
 リンの摂りすぎは、カルシウムの吸収を悪くするので気を付けたいもの。炭酸飲料や練り製品、インスタント食品、スナック菓子にはリンが多いので、ほどほどにします。

カルシウム強化食品も利用
 ウエハースやせんべいなどの菓子、ご飯の素など、カルシウムが強化された補助食品も市販されています。上手に利用すると良いでしょう。興味のある方は、管理栄養士までお気軽に声をかけて下さい。

もみじ9月号 『知って納得、読んで納得』より