フットケア@ 〜足病変に気をつけよう!〜

透析の長期化、高齢化、糖尿病患者の増加により過去には少なかった足のトラブルをおこす透析患者が増えてきています。足病変は動脈硬化症、末梢神経障害、感染症などが複雑に絡み合って発症していきます。透析患者さんでは動脈硬化症を基盤として発症する閉塞性動脈硬化症(ASO)は頻度の高い足のトラブルです。さらに糖尿病を合併している場合、末梢神経障害もあらわれてきます。

参考資料 
『糖尿病のフットケア』新城 孝道著より
糖尿病でみられる足のトラブルの代表は足壊疽とよばれるものです。足の小さな傷、靴ずれ、タコ、うおのめ、やけど、水虫などのわずかな皮膚の傷をきっかけとしておこってきます。このような傷があると糖尿病神経障害が進行していない患者さんでは疼痛、違和感などがあるのですが、それに対して、糖尿病神経障害が進行した患者さんでは感覚鈍麻があるため気づきにくくなり、また網膜症や白内障を合併している場合が多く、視力低下のために足の傷の発見が遅れます。さらに動脈硬化症を合併していると下肢の血流が悪くなり、傷の治りが遅くなります。これらに高血糖状態、腎不全が重なると傷は治りにくく、小さな傷が拡大し皮膚潰瘍になり、そこから容易に感染をおこすことで足壊疽をきたしてしまいます。足壊疽になると、最終的には切断に至るケースもあります。
このようなことにならないように、まずは予防です。次のことに気をつけるようにしましょう。

毎日足に水疱、傷や痛み、深爪による出血、靴ずれはないか観察しましょう。

毎日足を洗い、よく乾燥させましょう。特に指の間は丁寧に拭きましょう。

足にあった靴を選びましょう。新しい靴は履きならしが必要です。

裸足で歩くのはやめましょう。靴下を履き、毎日清潔なものにしましょう。

低温火傷に気をつけましょう。アンカ・湯たんぽ・カイロなど直接皮膚へあてないようにしましょう。

深爪をしないようにしましょう。

巻き爪は自分で切らないようにしましょう。

水虫はあきらめず、根気よく薬を塗りましょう。

禁煙しましょう。タバコは血液の流れを悪くします。

もしものときにすぐに消毒できるように消毒液を常備しましょう。

 当院では、動脈硬化症、冷感、しびれなどの早期発見のため年2回ABI、サーモグラフィーの検査、糖尿病患者さんには週の始めに足のチェックなどをしています。
もみじ11月号 『知って納得、読んで納得』より