機関紙『もみじ』11月号より
透析中の「低血圧」はなぜ起こるの!?

 透析中の副作用として1つに「低血圧」があります。当院でもこの透析中の「低血圧」に悩まされている方が何人かおられます。ではこの「低血圧」はなぜ起こるのでしょうか?
原因は色々な要因によって起こりますが、主なものを挙げてみました。
<原因>

@ 体重増加が多いと時間あたりの除水量が増えて、心臓に負担がかかり拍出量が低下してしまいます。すなわち、血液を送り出すポンプの役目をしている心臓の力が弱まってしまい、血圧が下がります。

A 降圧剤の投与量が多すぎたり、透析前の自己判断などによる不適切な服用が原因となります。

B 慢性腎不全の状態では健康な人に比べて動脈硬化が進んでいます。(特に高齢者、糖尿者)この動脈硬化とは血管が硬くなり、血管の弾力がなくなった状態です。そのため血管は体の状態に合わせてうまく反応出来なくなってしまいます。

C 決められた塩分量(1日7g以内)を超えて摂取すると血管の中の浸透圧が高くなり、体内の水分のバランスが崩れてしまいます。そのため血圧が下がってしまいます。

 以上が主な原因ですが、特に1回の透析で大量に除水を行った場合は血圧が低下する可能性が大きくなります。では、血圧が低下すると人によってさまざまな症状が透析中に起こりますが、主な症状は あくび、吐き気、嘔吐、頭痛、動悸、冷や汗、耳鳴りなどです。ひどくなると胸痛、腹痛、意識障害など怖い症状が起こります。また、急激に血圧が下がることを「ショック」といいますが、ショック症状が起きた場合にはすみやかに何らかの処置が必要です。これらの予防には先ほど<原因>のところでお話しましたが、まず第一に体重を増やしすぎないことが大切になってきます。特に水分は守られた量を超えないようにしなければなりません。

 この怖い「低血圧」の対策についてもう少し詳しくお話しましょう。
<対策>

@ 体重を増やしすぎない事が大切です。体重の増加量は当院では透析をしない日が2日あくときはドライウエイトの7%以内、透析をしない日が1日あくときは4%以内としています。特に水分は決められた量を超えないようにしなければなりません。

A 降圧剤の正しい服用をする。自己判断での服用は大変危険です。

B 透析上の工夫として、血圧低下時には頭部を下げ、足を挙上する。
  (引きつけがある場合は足はあげないで下さい。)

透析は自己管理がとても大切です。特に体重管理はとても大変ですが、自分に合った工夫などを行って自分の透析のペースをつかみ、怖い合併症を防ぐように頑張っていきましょう!!