機関紙『もみじ』12月号より

<胸部レントゲンの必要性について>

胸部レントゲンを月に一回撮るようにしていますがその必要性についておこたえします。

.胸部のレントゲンはどうして撮らないといけないんですか?

 透析患者さんが水分管理を行うときに目標とする体重のことをドライウエイトといいます。ドライウエイトは「血圧は高くなく、むくみがなく、また、透析時の除水の際に急激な低血圧がおきない最低の体重」という条件を満たす体重のことです。よく用いられる指標として、心胸比があります。胸部レントゲン写真で、肺うっ血や胸水がなくて、心胸比が50%以下であることを目標にドライウエイトが決められます。この方法の欠点は、患者さんに心疾患や心肥大がある場合は適応できないことです。ほかの指標として、血液中の心房性ナトリウム利尿ホルモン、超音波エコー検査で測定する下大静脈径などがあります。

.どうして体の中の水分が多くなるのですか?

 腎機能が正常な人は水分を摂取しても腎臓で余分な水分を排出し尿として体外へ出しますが腎機能の低下している人は、水分をうまく調節出来ません。1日に尿は1.5L〜2Lでますが透析患者さんは尿が出ない為汗や便、呼気中に排出される以外は摂取した水分は体内にたまることになります。

Q.心胸比が大きくてもずっとそのままの体重でいるとどうなりますか?

 むくみ.血圧上昇.息苦しさ.咳などが出現しやがて肺や心臓にまで水があふれ肺水腫や心不全をおこします。

Q.そうならない為にはどうしたらいいですか?

 心胸比をチェックし事前に適正体重を変更することですが、適正体重まで充分除水できていないために症状が出現する場合があります。よりよい生活を送る為に水分・塩分の管理は最も大事なことです。透析間の体重管理の目安として透析日が1日あきで3%、2日あきで5%以内に抑えることが必要です。例えば、50kgの場合、1日空きで1.5kg以下、2日空きで2.5kg以下となります。また、ドライウエイトは患者さんの栄養状態によってもかわるので、一定とは考えずに定期的に見直すことが大切です。

 皆さん月に1度は必ずレントゲンを撮るようにしましょう。

<心胸比の測定法>
心臓の幅÷胸部の幅×100=心胸比
心胸比には個人差がある(心臓に病気のある人や心臓の壁の厚い人)が50%以下